2017.5.1 UP DATE

【ミマス連載】「歌と旅と星空と」~第1章『地球星歌の旅』 Vol.3 ヨーロッパ

 日本全国の学校や合唱団で歌われ続けている合唱曲《COSMOS》や《地球星歌》。旅の体験や星空の影響を受けた作者のミマスさんが自身の想いをこめた歌です。そのメッセージが、十数年の時をかけて歌とともに広まっています。


 この連載ではプロローグに続き、ミマス作品に込められたご本人の体験をエピソードとともに紹介していきます。

 


 2007年、世界一周航空券を手に、5ヶ月かけて世界のいろいろな国を巡る旅へ。南米やアフリカ、ヨーロッパなどを周りました。地球の雄大な自然と、感動的な絶景の数々。それとともに、深く印象に残っているのが人々の優しさです。どこの国へ行っても、見知らぬ僕たちに対して、家族や友人のように温かく接してくれる親切な人たちが大勢いたのです。

 

 旅から帰り、出会った人々への感謝、そして、地球という一つの星をわけあう全ての人々への想いを込めて作ったのが《地球星歌》です。


《地球星歌》の旅 Vol.3 ヨーロッパ
Vol.1 南米大陸 はこちら

Vol.2 アフリカ大陸はこちら

 

 世界一周の旅はアフリカからヨーロッパに移ります。南アフリカ共和国のヨハネスブルクから、オランダのアムステルダム行きの飛行機に乗りました。

 


01 オランダ・アムステルダムの風景。街じゅうに運河が張り巡らされ、まさに『水の都』という感じです。 

 

 アムステルダムではぜひ訪れたい場所がありました。有名な『アンネの日記』を書いた少女アンネ・フランクの家です。アンネ・フランクは第2次世界大戦中に『ユダヤ人である』というだけの理由でドイツ軍に捕らえられ、強制収容所に送られて命を落とします。平和を願い続けた少女の、15歳での死でした。彼女が捕まるその日まで家族と屋根裏に隠れ住んだ家が今も残っており、博物館になっています。彼女が日記を書いた部屋、見つからないようにこっそりと外の世界を覗いた小さな窓。そこで見た全てのものが、僕の胸を締め付けました。《地球星歌》のテーマは『平和』ですが、このアムステルダムでの体験が、歌作りのたくさんの種の一つになったことは間違いありません。アンネは生前、『もし自分が生き残ることができたら世界の平和のために働きたい』と言っていたそうです。その想いは、やはり人類の"誰か"が引き継がなければならないのだと思います。本当に微力ですけれど、僕自身もその"誰か"の一人になりたいと思ったわけです。

 

 


02 世界遺産に登録されているキンデルダイク。たくさんの風車が並ぶ光景はまさにオランダ!ですね。

 

 

 次に訪れたスペインはまさに太陽の国でした。レンタカーを1週間借りて、南部のアンダルシア地方ポルトガルを巡ったのです。グラナダにある世界遺産アルハンブラ宮殿は、かつてイスラム勢力がスペインを支配していた時代のもの。まるで無限に広がる宇宙のように、複雑で美しい幾何学模様が壁一面に広がります。その不思議な、吸い込まれるような美しさに大きな衝撃を受けました。また、スペイン・ポルトガルはとにかく海がきれいでした。まぶしい陽光に輝く地中海。アフリカとヨーロッパがわずか十数kmの距離で向き合うジブラルタル海峡。ポルトガルのサグレス岬ロカ岬から見下ろす大西洋。大航海時代に水平線を目指した船乗りたちは、この海の輝きに果てしない夢を見たのだろうな…。そんな感慨深い気持ちになりました。

 

 


03 スペイン南部のアンダルシア地方には美しい『白い村』がたくさんあります。その一つ、サロブレーニャの街並み。


04 スペインの世界遺産アルハンブラ宮殿の内部。イスラム建築の最高峰と称えられています。

 


05 ヨーロッパとアフリカが向き合い、地中海と大西洋がつながるジブラルタル海峡。対岸にはアフリカ(モロッコ)の山々がすぐ間近に見えます。

 


06 ヨーロッパ最南端となるスペイン・タリファの岬。地図で僕が指さしている場所です。看板には3ヶ国語で、『今あなたがいるのはヨーロッパで最も南の町です』と書かれています。

 

 

 さて、半年間に及ぶ世界旅行の最後の目的地は出発前から決めていました。それはヨーロッパ最北端、ノルウェーノールカップ岬です。この旅は南米パタゴニアやアフリカの喜望峰、ユーラシア大陸最西端のロカ岬など、『世界の果てを巡る』というのが大きなテーマでした。最後に訪れたヨーロッパ最北の岬はひどい悪天候で、断崖の上から見下ろす北極海は暗い灰色。強風に雲が低く流されオドロオドロしい雰囲気です。それでも新婚旅行のゴールというけっこう大切な節目ですから(笑)、冷たい雨に打たれながら、岬の先端に立つ大きな地球儀のモニュメントの前で『これまでありがとう、これからもよろしく』と短く言い合いました。フィンランドから日本へ帰る飛行機に乗る日も雨。半年間にわたる旅の最後の風景は、静かに雨が降る、誰もいないヘルシンキの港でした。 

 

 


07 ヨーロッパ最北の岬、ノルウェーのノールカップ。断崖の上にこの大きな地球のモニュメントが立っています

 


08 ノールカップの近くに広がる、北極圏の原野の風景。真夏の6月でも雪があります。写っているのはSachikoと、僕たちが借りたレンタカーです。一日じゅう太陽が沈まない白夜の季節であったためほんとうに幻想的で不思議な世界が広がっていました。

 

 『この旅が終わるとき、どれほど大きな感動に包まれるだろう』そう思っていましたが、不思議なくらい気持ちは冷静で、ひたすら心に穴が開いたような気分に浸っていました。ただ、ずっと後になってから僕はこの旅の本当の意味や価値を知るのだろうな…という予感がしていました。

 

 ミマス

 

 

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 <ミマスのライブ情報>
 

『君も星だよ』発売記念 Aquamarine トークライブ
2016年10月16日(日)

 

ライブの詳細はこちら

 

<ミマスのライブ映像>

LIVE~サマーホリデー in 原村星まつりにて(2016年8月5~7日)

 


 

ミマス プロフィール

 

 

 

 

 

 

 

 

Sachikoの澄みわたるボーカルと、ミマスの詞と曲を基盤とする音楽ユニット「アクアマリン」のメンバー。1998年6月結成。作詞作曲、キーボード、ギター担当。星空・宇宙・自然・旅などをテーマに、生命の大切さや生きることの素晴しさを歌う。天文やアウトドア系のイベント出演、プラネタリウムでのコンサート多数。文部省国立天文台後援のスターウィーク(毎年8月1~7日)1999年のテーマソング《COSMOS》でメジャーデビュー。混声三部合唱の楽譜が発売され、全国の学校や合唱団で歌われている。

 

合唱曲になっている代表曲:『COSMOS』『地球星歌~笑顔のために~』『明日の空へ』『Voyager(ボイジャー)』『星降る里』『いつかこの海をこえて』『一つの明かりで』『心のなかの広い宇宙を』『つないで歌おう』『エスペランサ~希望~』

 

5月27日生まれ。双子座A型。神奈川県茅ヶ崎市出身。茅ヶ崎市立西浜小学校、西浜中学校、茅ヶ崎北陵高校、法政大学文学部地理学科卒業。小学校5年生のとき理科の授業をきっかけに星や天文に興味をもち、平塚のプラネタリウムに毎週通って星座を覚える。そのときプラネタリウムのBGMとして流れていた美しいシンセサイザー音楽に魅かれ、人生で初めて音楽を好きになる。現在は神奈川県平塚市在住。

 

1996年10月からパーソナリティをつとめているラジオ番組「ミマスの星空音楽館」は、地元のラジオ局・FM湘南ナパサ(78.3MHz)で毎週日曜20:00~21:00に放送中。
2001年から天文雑誌の月刊誌『星ナビ』(毎月5日発売)で毎月コラムを連載している。
2016年8月8日、初のエッセイ『君も星だよ~合唱曲《COSMOS》に込めたメッセージ~』(音楽之友社)が発売。

 

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