2017.7.11 UP DATE

【NEWS】日本で始動! クリスチャン・ヤルヴィ サウンド・エクスペリエンス2017

 すみだトリフォニーホール(東京墨田区)は、開館20周年記念コンサートとして「クリスチャン・ヤルヴィ サウンド・エクスペリエンス(KJSE)2017」を始動する。その記者発表会では、初回となる11月3日(金・祝)に登場するピアニスト、フランチェスコ・トリスターノや企画協力の前島秀国、同ホールのプロデューサー上野喜浩、通訳の久野理恵子に加え、エストニアからクリスチャン・ヤルヴィもスカイプ(インターネット電話)で飛び入り参加した。

 


すみだトリフォニーホールのプロデューサー上野喜浩により、
概要が発表された。

 

 まず、ビデオメッセージでプロジェクトのコンセプトを語ったクリスチャン・ヤルヴィ。全世界で展開していくもので、従来の伝統的なレパートリーを上演するコンサートとは一線を画した、「新しいアプローチでパーソナルかつエモーショナルな体験を聴衆に提示」していくという。

 


クリスチャン・ヤルヴィからのビデオメッセージ。

 

 実際のコンサートは、「演奏家や聴衆にとっても、必ずしも聴きなれたものではない体験になるかもしれません。ですが、理想を模索し続けている人にとって、共通項が多々見られるのでは」。具体的には、展覧会、映画/マルチメディア、パネルディスカッションなどを採り入れ、「単なるコンサートに縛られない、クロスカルチャー啓蒙のためのプラットフォームを提供」するという。

 

 すでにクリスチャン・ヤルヴィは、アブソリュート・アンサンブルやMDRライプツィヒ放送交響楽団、バルト海フィルハーモニックとともにコンセプトの実現に向けて着手。バルト海フィルとは今秋CDデビューを予定している。

 


スカイプでの参加は前夜に急遽決まったそうで
このプロジェクトの理想を追求する姿勢が垣間見られた。

 

 日本での11月3日の公演は、オーケストラに同ホールを拠点とする新日本フィルハーモニー交響楽団を選び、プログラム後半にCDと同じワーグナーの楽劇を60分に再構成したヘンク・デ・フリーヘル編「オーケストラル・アドヴェンチャー《ニーベルングの指環》」を据える。

 

 このフリーヘルによるオーケストラ編曲版は、原曲では4日間に渡る長大なオペラを、さまざまな登場人物を彷彿とさせるように構成されており、まさに音楽を通してアドヴェンチャーできるという。また、《指環》はドイツやライン河が連想されるが、実はワーグナーが題材にした北欧神話「エッダ」には、エストニア・バルト海地域にもつながりがあると、クリスチャン・ヤルヴィは話す。そういったルーツへの思い入れもあり、約15時間にも及ぶ原曲への導入、啓蒙のために選曲されたようだ。

 


クリスチャン・ヤルヴィのインタビューやCDのライナーノーツなどを執筆する
サウンド&ヴィジュアル・ライター前島秀国が進行。

 

 前半は、日本初演の2つの作品が並ぶ。

 

 まずは、クリスチャン・ヤルヴィが父に捧げた「ネーメ・ヤルヴィ生誕80年のためのコラール」。ヤルヴィ一家は、指揮者ネーメ・ヤルヴィのもと、兄に指揮者のパーヴォ、姉にフルート奏者のマーリカがいる。「これは彼の生涯の物語です。私から見た父の姿、どういうふうに生きてきて、どうありたいのかということを表現しながら、民族音楽の要素、エストニアのリズムも取り入れ、母国のメンタリティや文化を示しています」。

 

 2曲目は、フランチェスコ・トリスターノのピアノ協奏曲《アイランド・ネーション》。「巨大なリズムマシーン」のオーケストラの土台に、ピアノの即興をのせていく作品だ。トリスターノは、「バッハでもスカルラッティでも、ヘンデル、テレマンでも、オスティナートなどの共通項を見い出すことができます」と話す。後ろにある構造には伝統的な音楽が流れており、そこに自由にピアニストが展開していく、演奏するたびに少しずつ異なる、これがKJSEの考えるクロスカルチャーとも言えるだろう。

 


ピアニストのフランチェスコ・トリスターノ。
今秋ソニー・クラシカルに移籍し、
9月にCD「ピアノ・サークル・ソングス」をリリース予定。

 

 この記者発表でヤルヴィは、トリスターノのことを「常に変化を続け、ステージ上でリクリエイトできる。聴衆に音楽でコミュニケーションできる卓越した能力をもっている」と評し、逆にトリスターノは「最初に会ったときから私の音楽を本当によく理解してくれ、心から信頼できる存在」と慕っている様子が窺い知れた。

 

 そして、ここで発表した内容は、11月3日の公演までに発展・変化していく可能性もあるという。理想を追い求めているKJSEの姿勢のひとつの表れだろう。

 なお、KJSEはトリフォニーホールの20年に渡るコンテンポラリーシリーズの活動と合流し、3回まで予定しているとのこと。(写真・文:編集部)

 


 

〈内容〉

すみだトリフォニーホール開館20周年記念コンサート
「クリスチャン・ヤルヴィ サウンド・エクスペリエンス 2017」

 

●日時
11月3日(金・祝)14:30開場/15:00開演

 

●会場
すみだトリフォニーホール(JR&東京メトロ「錦糸町駅」より徒歩5分)

 

●曲目
・K.ヤルヴィ「ネーメ・ヤルヴィ生誕80年のためのコラール」、
・F.トリスターノ「ピアノ協奏曲《アイランド・ネーション》」、
・R.ワーグナー/デ・フリーヘル編「オーケストラル・アドヴェンチャー《ニーベルングの指環》」

 

●出演
指揮:クリスチャン・ヤルヴィ
ピアノ:フランチェスコ・トリスターノ
新日本フィルハーモニー交響楽団

 

●料金
S席 6,000円/A席 5,000円
※すみだ区割、すみだ学割あり(トリフォニーホールチケットセンターのみ取り扱い)

 

〈問い合わせ〉

 

トリフォニーホールチケットセンター Tel.03-5608-1212

トリフォニーホールチケットオンライン http://www.triphony.com

 

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